チェックポイント
業務委託契約の12項目
- 請負か準委任か
- 請負は仕事の完成に対して報酬を払い、準委任は業務の遂行そのものに報酬を払います。成果物が明確なら請負、助言や運用のように成果を定義しにくいなら準委任が向きます。混在する契約は、業務ごとに分けて書きます。
- 業務の範囲と成果物
- 何をどこまでやるか、成果物は何か、追加の依頼はどう扱うかを書きます。範囲が曖昧だと、追加作業の費用と責任で揉めます。別紙に仕様を切り出すのが一般的です。
- 検収の条件と期限
- 成果物を受け取ってから何日以内に検査し、合格・不合格をどう伝えるか。期限内に通知が無ければ合格とみなす定めの有無。受託側は期限を、委託側は基準を確かめます。
- 報酬と支払サイト
- 金額の決め方(固定・従量・時間)、請求の時期、支払期日。下請法の適用がある取引では、給付の受領から60日以内の支払期日を定める必要があります。
- 再委託の可否
- 受託者が第三者に再委託できるか、事前承諾が要るか、再委託先の行為について受託者が責任を負うか。個人情報を扱う業務では、再委託先の監督まで含めます。
- 知的財産の帰属
- 成果物の著作権・特許等が誰に帰属するか、いつ移転するか(納品時か支払完了時か)、受託者の既存の知財は留保するか、著作者人格権を行使しない旨。「別途協議」のままにしないことが要点です。
- 秘密保持と個人情報
- 業務で知った情報の秘密保持と、個人情報を扱う場合の安全管理措置・委託先監督。NDAを別に結んでいる場合は、どちらが優先するかを書きます。
- 損害賠償の上限
- 賠償の上限(委託料相当額や直近12か月分が多い)、故意・重過失の除外、間接損害や逸失利益の扱い。上限が無い、片方だけにある条項は最初に直す箇所です。
- 契約期間と解約
- 期間、自動更新、解約予告の期間、中途解約の条件と精算。長期の準委任では、解約予告を3か月程度に置く例が多く見られます。
- 契約不適合の責任
- 納品物に契約内容との不適合があったときの修補・代金減額・損害賠償・解除と、請求できる期間。民法の原則より短い期間が定められていないかを見ます。
- 下請法・フリーランス法
- 資本金の区分と取引の類型によって下請法が、個人事業者への委託にはフリーランス法(2024年11月施行)が適用され、取引条件の明示や支払期日などの義務が生じます。適用の有無を最初に判定します。
- 反社・準拠法・管轄
- 反社会的勢力の排除条項、準拠法、合意管轄。海外の相手方では英文契約になり、準拠法が州法、管轄が海外の裁判所になっていないかを確かめます。
法令
下請法・フリーランス法が適用される取引では
下請法は、親事業者と下請事業者の資本金の区分と、製造委託・情報成果物作成委託・役務提供委託などの類型で適用が決まります。適用があれば、発注書面の交付、支払期日の設定、減額や受領拒否の禁止などの義務が生じます。
フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、従業員を使わない個人事業者等への業務委託に適用され、取引条件の書面等での明示、報酬の支払期日、募集情報の表示などを定めています。適用の判定と条項の確認は、公正取引委員会・厚生労働省の資料で最新の内容を確かめてください。
法令の内容は施行後も運用の見直しがあります。ここは掲載時点の一般的な説明で、個別の取引への当てはめは担当する弁護士が確認します。
再委託
再委託条項はどう書きますか
委託する側なら「事前の書面による承諾を得た場合に限り再委託できる。再委託先の行為について受託者が責任を負う」とするのが基本形です。受託する側なら、承諾を要しない範囲(関連会社、定型的な補助作業)を定めておくと運用が回ります。
よくある質問
業務委託契約と雇用契約の違いは何ですか
雇用は使用者の指揮命令のもとで労務を提供し、業務委託は独立した事業者として仕事を引き受けます。契約書の名称ではなく、指揮命令の有無や時間・場所の拘束といった実態で判断されるため、業務委託の形をとりながら実態が雇用に近いと、労働法の適用が問題になります
相手方のひな形で締結してもよいですか
構いませんが、相手方のひな形は相手方に有利に書かれています。上の12項目のうち、損害賠償の上限、知財の帰属、解約、再委託の4つを重点的に確かめ、直す箇所を絞って提案します
Nomarisに送ると何が返ってきますか
12項目を貴社の基準と過去の契約に照らして確かめ、修正案をWordの変更履歴で、相手方への返信文案と社内向けの要点とあわせて返します。下請法・フリーランス法の適用の判定も含めます
AIによる分析は法務業務を補助するものであり、最終的な法的判断ではありません