ガイド

AIで契約書を審査するのは、弁護士法に触れますか

多くの企業法務の場面では触れません。法務省は2023年8月のガイドラインで、通常の業務に伴う契約締結に向けた話合いや法的問題点の検討は、多くの場合「事件性」がないとの考え方を示しました。

ただし線引きは案件の性質で変わります。このガイドは、条文の要件、ガイドラインの要点、サービスを選ぶときに確かめることを順に整理します。

公開 2026年9月6日 最終更新 2026年9月6日 Nomaris編集部

条文

弁護士法第72条の5つの要件

弁護士でない者が法律事務を扱うことを禁じる条文です。次の要件がすべてそろう場合に違法となり得ます。

弁護士でない者
弁護士または弁護士法人でない者が主体であること。
報酬を得る目的
有償で行うこと。無償の助言は対象になりません。
法律事件に関して
訴訟事件、非訟事件、審査請求などの不服申立事件、その他一般の法律事件。「その他一般の法律事件」に当たるかを、事件性の有無で判断します。
法律事務を扱う
鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋をすること。
業として行う
反復継続の意思をもって行うこと。

5つがすべてそろった場合に違法となり得ます。どれか一つでも欠ければ該当しません。

ガイドライン

法務省のガイドラインは何を示しましたか

2023年8月、法務省大臣官房司法法制部は「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を公表しました。契約書の作成・審査・管理を支援するサービスについて、第72条の要件ごとに考え方を整理したものです。

要点は事件性の扱いです。企業法務で取り扱う契約関係の事務のうち、通常の業務に伴う契約締結に向けた話合いや法的問題点の検討は、多くの場合事件性がないとされ、その範囲のサービスは第72条に反しないと整理されました。一方、紛争が具体化した案件についての鑑定や代理は別です。

参考:法務省大臣官房司法法制部のガイドライン(令和5年8月公表)。原文は法務省のサイトで読めます。

2026年

2026年の議論はどうなっていますか

規制改革推進会議のワーキンググループでは、2026年1月に法務省がAIリーガルテックと第72条の関係について資料を示すなど、議論が続いています。ガイドラインの考え方を前提に、事業者が予測しやすい運用にすることが論点です。

利用者としては、ガイドラインの枠内で設計されたサービスかどうかと、事件性のある案件をどう扱うかの説明があるかを確かめれば足ります。

確認点

AI法務サービスを選ぶときの確認点

法律事務の担い手の明示
法律相談や契約書の法的審査を誰が行うのか(弁護士か、法律事務所か)が、サイトと契約書に書かれているか。
事件性のある案件の扱い
紛争や紛争のおそれがある案件を受けるのか、受けるなら弁護士がどう関与するのか。「何でもAIで」と書いてあるサービスは避けます。
AIの出力の確認体制
AIの結果をそのまま返すのか、人(弁護士)が確認してから返すのか。確認の有無で、返ってくるものの性質が変わります。
情報の取り扱い
契約書と相談内容を学習に使うか、企業ごとに分離しているか、誰がアクセスできるか。

Nomaris

Nomarisはどう設計していますか

Nomarisは、法務相談の受付、案件管理、文書作成支援を提供するプラットフォームです。法律相談、契約書の法的審査その他の法律事務は担当する弁護士または法律事務所が行い、AIは資料の整理、過去案件との比較、初稿の作成に使います。

紛争など事件性のある案件で、AIが弁護士に代わって法律事務を行うサービスではありません。そうした案件は個別に対応可否をご案内し、顧問弁護士との併用もできます。

よくある質問

契約書レビューを弁護士でない会社に頼んでも問題ないですか

契約書の法的審査そのものは弁護士または法律事務所が行い、その周りの作業(資料の整理、文書の作成支援、管理)を事業者が担う形なら、ガイドラインの考え方に沿います。誰が法的審査をするのかを確かめてください

「事件性がある」とはどんな案件ですか

すでに紛争が生じている、または生じるおそれが具体的にある案件です。相手方から損害賠償を請求されている、契約の解除を通告された、といった状態が典型で、通常の契約締結に向けた検討は多くの場合これに当たりません

ガイドラインは法律ですか

法律ではなく、法務省が第72条の解釈について予測可能性を高めるために公表した考え方です。最終的な判断は裁判所が行いますが、事業者と利用者が設計と選択の拠り所にできる公的な文書です

線引きを説明できる サービスを選んでください

Nomarisの設計と運用は、商談の場で具体的にご説明します。事件性のある案件の扱いも含めて。

資料でも概要を読めます。

AIによる分析は法務業務を補助するものであり、最終的な法的判断ではありません